美しさに秘められた棚田のすごい役割

2015年6月30日(火)
貝原棚田。「ぎふの棚田21選」に認定されている棚田で、江戸時代に開かれたと言われています。 (写真は貝原棚田保存会提供)

貝原棚田。「ぎふの棚田21選」に認定されている棚田で、江戸時代に開かれたと言われています。
(写真は貝原棚田保存会提供)

今年4月、「里山物語」による第5回目の支援として、「貝原棚田保存会」にテントを贈呈しました。そこで今回は、貝原棚田も含むすべての棚田について、由来やその役割をご紹介します。

 棚田の原型は古墳時代に存在していたと考えられています。開発ラッシュを迎えたのは江戸時代のことでした。各藩の財政基盤である石高を増やすために、水回りのよい急斜面に水田が開かれたのです。

 急勾配で田が小さく、手間がかかるなど、最近はデメリットばかりが強調されていますが、メリットもたくさんあります。例えば小さな治水ダム的な役割を果たし、地すべりや土砂崩れの防止に役立っていることです。また、雑木林や、ため池、湿地などが一体化しているので、多種多様な生物が暮らす場になっていることも注目されています。さらに日本人にとって原風景とも言える、懐かしくも美しくい景観が残っていることも特筆に値します。

 これらに加えて、お米がおいしくなりやすいという特徴も持っています。水源から近くて水質がいい上に、コンバインが入りにくいことが逆に幸いし、手間暇かけて天日乾燥をする棚田が多いためです。

 このように多くの機能を担いながらも、おいしいお米が得られる棚田は、人類の叡智が詰まったスーパーな農地なのです。

特定非営利活動法人里山保全再生ネットワーク

岩間 敏彦

特定非営利活動法人里山保全再生ネットワーク代表理事。本業(ライター・カメラマン等)で培った技能を生かして社会貢献をしたいと考え、里山保全を始めとする環境保護活動に参加してきた。現在は里山保全・再生に軸足を置きつつ、複数の環境NPOで代表理事・理事などを務める。