農業×福祉が織りなす、里山の明るい未来

2015年4月30日(木)

  

広島県福山市の施設は休耕地が増えている地域で、付加価値の高い「自然栽培」に取り組み始めています。

広島県福山市の施設は休耕地が増えている地域で、付加価値の高い「自然栽培」に取り組み始めています。

いま、農業界と福祉業界に新たな風が吹き始めています。そのキーワードは「農福連携」。文字通り農業と福祉が連携することなのですが、連携によって双方にメリットがあることを、ある雑誌の取材を通じて学びました。

 例えば農業側には、耕作放棄地での働き手が増えるというメリットがあり、福祉側には障がい者(主に知的障がい)が従事する仕事の選択肢が広がるメリットがあるということです。従来、障がい者は単純な反復作業しかできないと言われてきましたが、実は健常者と同じように人によって得意不得意があるのだそうです。その点、農業には多種多様な作業があるので、各人の得意な作業が選べます。得意な作業をするとほめられて働きがいを感じるようになり、その結果として賃金がアップする例も出てきているそうです。

 弊団体も里山と障がい者福祉が結びつけば、いい形で里山が守られると考えてきました。2011年には「里山物語」の寄付金で「赤目の森作業所」という団体を支援したことがあります。里山の木々からペレットを作ることを通じて、障がい者の就労支援や訓練を行っている施設でした。以降はより里山保全と福祉の連携に着目してきました。

 今回の雑誌取材では、毎日の作業に農業を取り入れている2カ所の事業所を訪ねました。土と緑に包まれた環境のもと、誰もが真剣なまなざしで楽しそうに働いていたのが印象的でした。その様子を見て「農福連携は、きっと福祉と農業をいい方向に変えていく」と確信したのです。

特定非営利活動法人里山保全再生ネットワーク

岩間 敏彦

特定非営利活動法人里山保全再生ネットワーク代表理事。本業(ライター・カメラマン等)で培った技能を生かして社会貢献をしたいと考え、里山保全を始めとする環境保護活動に参加してきた。現在は里山保全・再生に軸足を置きつつ、複数の環境NPOで代表理事・理事などを務める。