里山は本来、災害に強いもの。東北の里山復興を応援しましょう。

2011年7月20日(水)
海水を被った南相馬市の田んぼ

海水を被った南相馬市の田んぼ

東日本大震災の発生以降、被災地支援活動の一環として宮城県石巻市や気仙沼市、福島県南相馬村などに訪れました。

東北と言えば里山の宝庫です。道すがら多くの里山を目にしましたが、宮城県内ではがれきで覆われていたり、海水を被って耕作が不可能な田畑を多く見かけました。

より深刻なのが福島県です。事故を起こした福島第一原発から放射性物質が放出され続けているため、イネの作付けが禁止されたり、農作物の出荷が制限されている地域が多く存在するのです。それらの地域以外でも、「収穫物の放射線量が暫定基準値内でも、従来の価格では買ってもらえない」という声を耳にします。こうした背景からか、放置された田畑を多く見かけました。

進まないがれきの撤去に、収束の目処が立たない原発事故が重なり、東北の里山再生は前途多難と言えます。しかし、人類の英知が結集した里山は、災害時に生き抜く知恵も蓄えられている大切な場所です。たとえば、震災直後、各家庭で備蓄していた野菜や米を持ち寄って、救援物資が届くまでの間を食べつないだ集落がありました。また、復興に向けた話し合いの中で、「イグネ」と呼ばれる伝統的な屋敷林によって津波の力を弱めることを検討する自治体が現れています。エネルギー自給面でも、用水路の流れなどを利用した小水力発電や、樹木を燃料にしたバイオマス発電に期待がかかりはじめています。「東北の里山再生は復興の大きな鍵になる」と言っても過言ではないのです。

遠くの地から東北の里山再生を支援する方法はたくさんあります。たとえば東北のお酒を飲むことも、里山再生はもちろん、産業と雇用の支援につながります。みなさんも東北の里山再生につながる方法を考え、実行してみませんか。

(社内報kami-cocoro 里山マイスターの「里山通信」vol.6を転載)

特定非営利活動法人里山保全再生ネットワーク

岩間 敏彦

特定非営利活動法人里山保全再生ネットワーク代表理事。本業(ライター・カメラマン等)で培った技能を生かして社会貢献をしたいと考え、里山保全を始めとする環境保護活動に参加してきた。現在は里山保全・再生に軸足を置きつつ、複数の環境NPOで代表理事・理事などを務める。