よみがえる「馬搬」、「馬耕」

2017年5月1日(月)
馬の名は「ヤマト」。現在、クラウドファンディングを実施中です。 ※写真提供 柳沢林業

馬の名は「ヤマト」。現在、クラウドファンディングを実施中です。
※写真提供 柳沢林業

かつての日本各地では、機械に代わる原動力として馬が活躍していました。ところが次第にはるかにパワーがあり、世話があまりかからない機械に置き換えられました。一方で最近は主に“持続可能性”という面から、再び馬を林業や農業の現場で活用し始める人たちか増えています。

例えば林業は重機に頼る場合、林道を切り開く必要があるため、自然に影響を与えます。反面、林道を設けられない山からどんどん荒れるという問題もあります。しかし、馬なら重機が入れない場所から木を運び出すことができます。

農業も機械に頼りたくない場合、手作業では大変な場所を耕すことができます。しかも、馬糞はとても高品質な堆肥なので、農地を豊かにすることもできます。

弊団体の事務所がある長野県松本市岡田地区でも、かつて北海道の「ばんえい競馬」で活躍していた馬で木を運び出す「馬搬」を復活させる取り組みが始まりました。地元の林業会社と市民団体が協力し合ってスタートさせた『山と馬プロジェクト』です。近い将来は「馬耕」や、ホースセラピーなども行う予定とのこと。また、馬が運び出した木で作った木工製品や、馬が耕した畑で採れた作物をブランド化して販売し、運営費用に充てる計画も立てています。

弊団体もこの取り組みを応援し始めました。まずは“人が集まる場づくり”からお手伝いを始めています。このプロジェクトについて今後、この場をお借りしてご紹介したいと思っています。

特定非営利活動法人里山保全再生ネットワーク

岩間 敏彦

特定非営利活動法人里山保全再生ネットワーク代表理事。本業(ライター・カメラマン等)で培った技能を生かして社会貢献をしたいと考え、里山保全を始めとする環境保護活動に参加してきた。現在は里山保全・再生に軸足を置きつつ、複数の環境NPOで代表理事・理事などを務める。